スマホの普及によるアプリ市場拡大の影響で、アプリ開発によって起業を目指す方は増えています。実際メルカリをはじめとして、アプリ関連事業による起業で上場する企業は数多くあります。
一見すると「アプリ起業」は魅力的に思えるかもしれませんが、実際に売上があって収益化できるケースはほんの一握りです。アプリ起業を成功させるためには、激しい競争に勝つ必要があります。
今回の記事では、私たちが色々なアプリ開発による起業をお手伝いしてきた経験をもとに、アプリ起業する際に押さえてほしいポイントをご紹介します。
目次
アプリビジネスでの起業の難しさ
まず初めに、アプリ起業の厳しさをお伝えします。
競争率の高いアプリビジネス
突然ですが、一ヶ月間でリリースされる新作アプリは、どのくらいだと思いますか?
2017年10月の一ヶ月間でリリースされた新作アプリは、「iOS App Store」で約5万本、「Google Play」で約15万本と言われています。
※参照
つまり新作アプリだけで考えても5万〜15万本もの競合があり、その競争に勝つ必要がある訳です。今流行っているからという理由で、個人の方が何となくアプリを開発して起業しても、ほとんどの場合失敗してしまうのが現状です。
アプリ起業が失敗する要因
「プロダクト開発力(良いアプリをつくる能力)」、「ビジネスモデル」のいずれかが不足していると、アプリ起業が失敗する可能性は高くなります。
アイデア自体は良いものでも、プロダクト開発(システムやユーザエクスペリエンス)に関する知識が無ければ、ユーザに利用されるクオリティの高いアプリをつくる事は難しいでしょう。
開発自体を必ずしも内製化する必要はありませんが、外注する際は、事業ビジョンを共有でき、プロダクト開発力のあるパートナーを探す必要があります。
また、例えユーザに利用されるアプリを開発できても、ビジネスモデルが弱いと事業として成立させる事ができません。特に無料アプリの場合は、どの様にマネタイズするかを、考え抜いた上で事業をスタートする必要があるでしょう。
アプリ起業で成功するためには?
ここでは、私たちが考えるアプリ起業で成功するためのポイントを3つご紹介します。
ユーザー目線でのアプリ開発
アプリ起業を成功させるためには、アプリを使用するユーザー目線での開発が大前提になります。
ユーザーがどんなアプリを必要としているのかを、「ユーザーの属性(年齢や趣味など)」や「ユーザーの悩み」などを元に見極めましょう。
開発前に、複数のユーザ候補にインタビューを行い、自分達の考えている仮説が正しいかを検証するのも有効です。
また、先ほど述べた通りアプリ市場は競争が激しいので、競合アプリとの差別化も不可欠と言えます。
継続的な改善
3.63.0 | 11/22/2018 |
3.62.0 | 11/14/2018 |
3.61.0 | 11/07/2018 |
3.60.0 | 10/30/2018 |
3.59.0 | 10/18/2018 |
3.58.0 | 10/03/2018 |
3.57.1 | 09/25/2018 |
3.57.0 | 09/20/2018 |
3.56.1 | 09/18/2018 |
3.56.0 | 09/14/2018 |
この表にある数字が、一体何を表しているか分かるでしょうか?
こちらは、2018年9月から11月までの3ヶ月間で、メルカリのiOSアプリがバージョンアップされた日付です。見て貰えれば分かる通り、1ヶ月に3回のペースでバージョンアップしています。iOSアプリだけでなく、Android版もほぼ同じペースでバージョンアップを実施しています。
常にユーザー目線での改善を続けているからこそ、メルカリが多くのユーザーから支持されていると言えるでしょう。顧客のニーズを満たすためには、起業後も常にアプリの改善を続けることが求められます。
その為には最初の開発費だけでなく、起業後の継続的な開発も踏まえて、予算を計画する必要があります。
緻密な集客戦略(ニワトリと卵問題の突破)
ユーザーのニーズに適合する素晴らしいアプリを作っても、必ずしもユーザーが集まるとは限りません。プラットフォーム系のアプリで起業する場合、「ニワトリと卵問題」の突破が最大の課題になります。
「ニワトリと卵問題」とは、プラットフォームアプリの「需要」と「供給」のどちらを先に獲得するかという問題です。たとえばメルカリであれば、商品を買う人が「需要側」、商品を売る側が「供給側」になります。
プラットフォーム系のアプリは、需給両方がいなければアプリの価値が出ません。アプリ起業を成功させる為には、需給いずれから集めるかを決めた上で、それに向けて集客施策を実施する必要があります。もしくは広告費を一気にかけて、需給を同時に集める戦略も一つの手です。
何れの戦略を取るにしても、アプリ起業の成功率を高める上で、集客戦略や広告予算の確保は不可欠と言えます。
【厳選】アプリ起業の成功事例
最後に、アプリ開発による起業の成功事例をご紹介します。
家計簿作成を簡単に「Zaim」
Zaimは、挫折しやすい家計簿の作成を簡単に行えるアプリです。リリース後1年で、ダウンロード数が30万を超える大人気アプリとなりました。
この成功事例の特徴は、最初は兼業でアプリ開発を進め、十分反響を得られた時点で起業(法人化)した点です。最初から起業しないことで、アプリ開発のリスクを最小限に抑えた点は素晴らしいの一言です。
数秒で曲名を検索「Shazam」
街中でたまたま聞いた音楽を気に入って、曲名やアーティストを知りたくなった経験はあるでしょうか?そんな要望を解決してくれるのが、「Shazam」というアプリです。
Shazamは、知らない音楽が流れる音源にスマホを近づけると、楽曲名やアーティスト名を表示してくれるスマホアプリです。
顧客の悩みを見極めて、そこにシンプル、かつ的確なメリットを提供できた点で、素晴らしい成功事例と言えるでしょう。
大学の時間割を簡単に作成「すごい時間割」
最後にご紹介するのは、学生個人がアプリ起業して成功した事例です。
すごい時間割とは、全国各地の大学の授業データが登録されている画期的なアプリです。ですので、他人が入力した授業データをそのまま用いて、簡単に自分の時間割を作成できます。
起業後は順調にユーザー数を伸ばし続け、最終的には株式会社「ジョブダイレクト」にアプリを事業譲渡しています。
こちらもターゲットである大学生に対して、明確なメリットを提供できた成功事例です。
最後に
今回は、アプリ開発による起業を始める前に、チェックしてほしいポイントをお伝えしました。
アプリ市場は急成長を遂げており、魅力的なマーケットであることは確かです。個人の方であっても、起業を成功させられる可能性は十分あります。
とは言え、競争が激化しているアプリ市場で起業を成功させるためには、ユーザー目線の事業戦略やシステム開発に対して十分な理解が必要です。
今回ご紹介した情報を参考に、ユーザーに愛されるアプリを作って、起業を成功させてほしいと願っています。