新規事業のアイディアを考えるのは、とても難易度が高いものです。
新規事業のアイディアを検討する際に、海外でのヒットサービスからヒントをもらおうと考えた事がある方もいるのではないでしょうか?
今回は、実際の事業立ち上げに役立ちそうな、海外サービスの情報収集のノウハウなども紹介していきます。
目次
海外から事業アイディアを得て、大成功!?実例は?
海外から事業アイディアを得て大成功した起業家
海外から事業アイディアを得て成功した有名事例といえば、ソフトバンク創業者の孫正義さんではないでしょうか?
彼がとった戦略は、“タイムマシーン経営”というものです。
タイムマシーン経営とは、日本よりもIT領域が進んでいるアメリカで、成功しているサービスやビジネスモデルを輸入し大ヒットさせるというものでした。
この戦略の大前提は
“アメリカで流行したものが、数年遅れて日本で流行するという”という事実です。
彼の経営するソフトバンクはアメリカに拠点やネットワークをもっていた為、いち早く、アメリカの流行を把握する事が可能でした。
アメリカから仕入れたアイディアを即座に日本で展開する事で、まるでタイムマシーンで未来を見てきたかの様な精度で、事業展開出来たのです。
ビジネスアイディアのヒントは米国だけでなく中国にも?
2000年代初頭は、インターネットサービスのお手本となるのは米国のみだけでしたが、現在は、GDPで日本に抜き去りアメリカにつぐ超大国となった中国のサービスが注目されています。
※米国の有名ベンチャーキャピタルのKleiner Perkinsのインターネット業界に関する年次の調査レポート「Internet Trends」の2018年度版でも中国のIT領域での躍進について、非常に多くのページを割いて説明していました。
中国発の動画共有アプリのTikTokも日本で大ヒットしていますし、QR決済についても中国の方が圧倒的に浸透しています。
今後、海外サービスをリサーチする際は、米国だけでなく、中国のサービスも注目する必要があるでしょう。
海外サービスの模倣は、年々難しくなってきているのも事実
しかし、一世を風靡した海外サービスを輸入する戦術、所謂タイムマシーン経営は近年難易度が上がっています。
理由はいくつかありますが、大きな要因は下記の2つかと考えています。
インターネットの普及により即座に情報を共有される様になった事
その為、ヒットした事業アイディアをタイムラグがほとんどなく、世界中の起業家にシェアされてしまいます。
スタートアップの競争環境の激しい中国では、米国で有望なアイディアが紹介されると、即座に似たようなサービスが雨後の竹の子の様に生まれるそうです。
※2年前に海外サービスのリサーチの為に、インドのコワーキングスペースに滞在していた際、同じデスクの起業家志望風の男性が数名、後述するCrunchbaseやProduct Huntを熱心に閲覧しているのを見て、世界中で情報がフラット化している事を実感しました…。
ヒットした海外サービスを早く知れる事の自体の優位性は日に日に少なくなっているのです。
世界的プラットフォーム登場により世界同時展開が可能になった事
iPhoneの普及により、誰しもAppStore経由で世界中のアプリをダウンロードする事が出来る様になりました。
こういった、AppStoreの様な世界共通の巨大プラットフォームが登場した事により、YouTubeやFacebook、Twitterも即座に世界中に展開する事が可能になりました。
先述の中国発のTikTokなども、日本を含むアジア圏で大ヒットしています。
ヒットした海外サービスが日本に上陸するタイムラグがほとんどなくなってきているのです。
※今後、少子高齢化により、日本の市場が縮小していけば、優先度の高い市場でなくなるので、海外企業のサービス展開のタイムラグが生まれる皮肉な事になるかもしれませんが…。
参考にしようとした海外の本家サービスが、即座に多国籍展開できる現在の状況もタイムマシーン経営を難しくしているポイントです。
こういった本家サービスの展開に備える為には、ローカライズを行い、ユーザを囲い込むなどして参入障壁を築く必要性があるでしょう。
海外から事業アイディアを得た際の有利な点やメリット
海外から新規事業のアイディアを得る事の有利な点やメリットについても説明します。
証明されたビジネスモデルを参考にできる
新規事業を行う際に、苦労するのはビジネスモデル自体を成立させる事です。
また創業メンバーの採用や、投資家から資金調達の際に、まだ仮説レベルのビジネスアイディアやビジネスモデルを元に説得する事は非常に難しいです。
しかし、既に海外で実績のあるビジネスモデルであれば、説得力を持たせる事が可能ですし、日本でも、そのビジネスモデルが成立させられる可能性は、全く新しいビジネスモデルよりも高いでしょう。
お手本というべき、サービスがあると、あらゆる事業上の意思決定の参考に出来ます。
これは事業立ち上げにおいて非常に大きいメリットでしょう。
海外から事業アイディアを得た際の難しさや、デメリット
日本には、マーケットが存在しない可能性もある
海外でヒットしているサービスでも、日本では受け入れられない可能性もあります。
よく言及されるのは、国民性や生活環境の違いです。
例えば、アメリカでは比較的、知らない人同士でも抵抗なく直接会って、私物を売買したり、サークルをつくったりするのですが、日本ではあまり、そういったサービスはマス層にヒットしていません。
これは国民性の違いがあるのかもしれません。
また米国だと、人種別、宗教別の男女のマッチングサービスが人気ですが、日本で展開しても、多くのユーザを獲得する事は難しいでしょう。
国内の競合プレイヤーの存在も大きく影響します。
日本の小売やサービス業のクオリティが非常に高く、また提供価格が安い傾向にあります。
例えば、米国や中国でヒットしている買い物代行サービスも、日本ではコンビニが圧倒的なリーチ力を誇っている為、日本で広げる事は難しいでしょう。
完全コピーだとビジョンを持ちにくい
ただ海外で流行しているからといった理由で、そのままアイディアをコピーして日本ではじめた場合、ビジョンが希薄になりやすいです。
事業が苦しい時に耐えたり、投資家や、従業員を魅了するのに、ビジョンは非常に重要です。
海外からアイディアのヒントを探す際は、実際に思い入れが持てそうな事業領域を中心に探し、最終的には、自分の口でビジョンを語れる様になる必要があるでしょう。
[随時更新] 海外サービスの調査時の情報ソースと調査ノウハウ
ProductHunt
世界中の新しいサービスのリストが日々更新されており、各サービスには、ユーザからの評価や、コメントがあります。
Y combinatorのDemoDay
そしてこのプレゼンテーションの内容は、参加者がネット上にアップしますので、どの様なスタートアップが、どんな事業を立ち上げようとしているのか知ることが出来ます。
Y combinatorに参加する事は、非常にハードルが高く参加しているスタートアップは非常に優秀なチームばかりですので、彼らの事業アイディアから、何かインスピレーションをもらえる事もあるかもしれません。
Crunchbase
こちら超有名な世界中のスタートアップのデータベースです。
簡単な事業内容から、調達金額や投資家まで確認する事が出来ます。
一定以上調達しているスタートアップは、ビジネスモデルが評価されているという事ですので、実績のある海外スタートアップを探す際には有効です。
中華IT最新事情
中国のスタートアップニュースは、私が中国語を読めない事もありなかなか開拓できていないのですが、現在日本語で読める情報源としては、圧倒的に中華IT最新事情がオススメです。
チャイナパス
チャイナパスは、中国のスタートアップやIT関連の情報を紹介しているニュースサイトです。
中国のテックジャイアンとである、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の動向からスタートアップまで幅広く紹介しています。
最近発見したのですが、更新頻度も高く参考になるので定期的にウォッチしています。
※中国周りの情報については、引き続き開拓していこうと考えていますのでアップデートがありましたら、随時追記予定です。
最後に
海外で流行したサービスをそのまま、日本にもってきて成功する事は難しいですが、今でもアイディアのきっかけを得る為に、海外サービスを研究する事は有効だと考えています。
ぜひ、探してみて下さい。