「IT企業の社長が芸能人と結婚!」などのニュースを見て、IT業界での起業に憧れている方は増えている様です。

確かにIT関連の市場は急激に拡大していますが、実際に成功している社長はほんの一握り。IT業界に限らず起業に成功している方は、それまでに数々の泥臭い努力をし続けています。

この記事では、私自身がIT業界に10年近くいて得た経験を基に、起業する上で参考になりそうなことをお伝えします。

IT関連の市場規模は確実かつ圧倒的に伸びている

IT関連の市場規模は伸びている

タイトルにある通り、IT関連の市場規模は確実かつ圧倒的伸びています。「IDC Japan」の発表によると、2018年の国内IT市場規模は約17兆5150億程度で、前年比で4.3%も成長しています。

※参考

2020年には一度成長が鈍化するものの、それ以降はますますIT業界の市場規模は拡大する見込みです。

数字にも表れている通り、AIやIoTの発展に伴い、今後すべての業界がIT化すると予想されています。もはやIT業界という言葉すら消えるほどITがビジネスと一体化することも考えられます。

今後はITを無視して起業するのはほぼ現実的で無くなりますが、一方でそれはビジネスチャンスの創出を意味します。成長過程にある市場においては、差別化次第でいくらでもビジネスチャンスを見出せます。

つまり今後も引続き多くの、IT起業のチャンスが訪れると言っても過言ではなく、IT関連の起業は急増するでしょう。

IT起業の成功率は10%以下

IT起業の成功率は10%以下

今後が明るいIT起業ですが、成功率は高くありません。

一般的には、起業1年後に存続できる確率は40%程度、5年後には15%、10年後には6%程度と言われています。あくまで私の実感ですが、成長市場のIT業界でも成功率はこの程度です。

華々しく起業・プレリリースするサービスや企業は数多いものの、その殆どがいつの間にかいなくなっています。倒産するというよりは、廃業せずに会社を放置しているケースが多いです。

以上の通りIT起業の成功率は高くなく、むしろ失敗する確率の方が高いです。

以下の記事では、起業の成功率が詳しく考察されているので参考にしてみてください。

IT起業で失敗しないために押さえたいポイント

ここでは、IT起業で失敗しないために押さえたいポイントをご紹介します。当たり前のことばかりかもしれませんが、改めて起業する前に考えてほしいです。

軌道に乗るまで耐えられる資金はあるか

軌道に乗るまで耐えられる資金はあるか

IT分野での起業では開業時の資金は少なくて良いとよく言いますが、実は何だかんだ費用がかかります。例えばシステム開発費や広告費だけでも、数百万円を超える場合もあります。

また、消費者向けのサイト(BtoCビジネス)の場合、すぐには売り上げを作れない可能性が高いです。軌道に乗るまで耐えるには、資金調達を行うのか、手堅く売り上げを作れるBtoB事業を並行するのかを考えなくてはいけません。

アイデアの検証はやりきったか

ユーザーのニーズをチェック

IT分野での起業では、事業のアイデアが成功・失敗を左右すると言っても過言ではありません。自分たちでニーズがあると考えたアイデアであっても、実際はそこまでユーザーに求められていないケースは多々あります。

IT起業を失敗させない為には、実際に課金してまで使いたいと思わせるほど、ユーザーのニーズがあるかをチェックする必要があります。

起業アイデアの検証にあたっては、MVPのアプローチが有効です。MVPのアプローチについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

システム開発の体制は整ったか

システム開発の体制は整ったか

IT起業に重要なシステム開発には、想像以上に費用がかかります。

(詳しくは下記の記事をご覧ください)

しかも大抵のWebサービスやアプリは、リリースして終わりではなく、継続的な改善が必要になります。開発からメンテナンスまでに要する費用を踏まえて、システム開発の体制を整えることが重要になります。

起業する方がエンジニアでない場合は、開発予算の確保に加え、信頼できる開発パートナーを探す必要があります(外注・内製関係なく)。

開発予算を確保した上で、信頼できるパートナーを見つけられれば、IT起業の失敗可能性を軽減できるでしょう。

ビジネスに持続的な収益性はあるか

ビジネスに持続的な収益性はあるか

IT「起業」というからには、持続的に収益を得られるビジネスでなくてはいけません。実際ユーザーに愛されるサービスを作れても、マネタイズの失敗により閉鎖するケースは非常に多いです。

無料サービスを運営し、ユーザーが増えた時点で広告によりマネタイズするとしても、広告で収益を得る為には気の遠くなる数のユーザーが必要になります。

また、2人程度の小規模体制で起業したとしても、固定費で月100万円近くかかる点にも留意する必要があります。

月100万円以上収益を得るWebサービス・アプリを作るのは、想像以上に難易度が高いです。

IT起業を失敗させない為には、費用や売り上げの観点からビジネスを考えなくてはいけません。

ライブドアの元経営者として有名な「堀江貴文」さんは、以下の4原則に該当するビジネスは、儲かるビジネスだと言っています。非常に具体的で参考になるのでご紹介します。

堀江貴文さんの語る、儲かるビジネス4原則

在庫がない

在庫を持つビジネスの場合、商品が売れ残った際に、仕入費用が無駄となります。たとえば100万円分仕入れて30万円分売れ残った場合、その30万円分だけ利益がマイナスとなります。

かと言って赤字を恐れて在庫を少なくすれば、供給が追いつかなくなり、より多くの売り上げを得るチャンスを逃してしまいます。

しかし在庫を持たないビジネスであれば、需要に応じて商品を供給できるため、無駄な仕入費用の発生や売り上げ機会を逃す心配がありません。

利益率が高い

当然ですが利益率が高いビジネスであるほど、より多く儲けることができます。

たとえば売上高が1,000万円の場合、利益率が30%であれば30万円しか利益を得られませんが、60%であれば600万円も利益を得られます。(当たり前の話ですが、事業を運営しているといかに利益率が重要かを日々実感します….)

起業を成功させるためには、利益率の高いビジネスアイデアを考えることが大切と言えます。

毎月定期収入を得られる

いつどの程度の利益が入るか分からないビジネスよりも、毎月安定的に収入を得られるビジネスの方が好ましいと言われています。

例えば長期的な顧問契約などがあれば、起業後に失敗する可能性は幾分か減ると言えるでしょう。

少ない費本で始められる

儲かるビジネスという本質からは外れるかもしれませんが、少ない資本で始められるビジネスの方が低リスクです。

起業時に3,000万円の投資が必要となるビジネスの場合、成功すればともかく、失敗した場合は目も当てられません。

少ない資本で事業を始めて、リスクを最小化しつつ儲けるのが理想の形と思います。

ビジネスアイデアを考える際は、上記の4原則を意識するのをオススメします。

堀江さんが提唱する4原則を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧になると良いかと思います。

ITで起業する上で持っておくべきスキル

IT分野で起業する際は、下記3つのスキルを持っておくと良いでしょう。

システム開発

IT分野で起業する上で、プログラミングのスキルや開発モデルに関する知識などを持っておくのは非常にオススメです。

ITのスキル自体は無くても起業できますが、スキルがあれば「外注費用を削減できる」、「システム開発の進捗管理がしやすくなる」などのメリットがあります。

マーケティング

自分で起業する訳ですから、マーケティングのスキルは必須です。マーケティングのスキルが無ければ、余程センスのある方でない限り、ユーザーのニーズを満たす(売り上げを得られる)サービスを構築するのは難しいです。

会計・ファイナンス

IT業界に関係なく、会社を継続する上で「会計・ファイナンス」の知識はとても重要になります。

マーケティングやシステム開発のスキルがあっても、会計・ファイナンスの知識がなければ、「思わぬタイミングで資金が底を尽きた」などの事態になりかねません。

IT起業の厳しさが分かるブログ記事をご紹介

ここでは、IT起業の厳しさが分かるブログ記事を2つご紹介します。

どちらの記事も、非常に優秀なIT起業家の方が書いています。記事には赤裸々に上手くいった事と失敗したことが書かれており、読めばIT起業の厳しさを実感できるでしょう。

カクテル株式会社の起業事例

以下の記事では、「カクテル株式会社」を起業した方の事例が紹介されています。

起業後に経験した数々の失敗や、失敗した後に気づいたこと、起業家が健康的に働く方法を自身の経験を交えつつ紹介してくれています。

ミチシルベ株式会社の起業事例

一方でこちらの記事では、一度起業に失敗し何もかも失ったエンジニアが、再起後事業売却するまでのサクセスストーリーが紹介されています。

一度失敗した際の心情や、失敗で気づいたことが生々しく書かれており、IT起業を検討している方にとっては非常に役に立つでしょう。

最後に

今回はIT業界での起業で押さえてほしいポイントや、必要となるアイデア・スキルをご紹介しました。

市場が拡大している上に初期投資が少なくて済むので、IT業界での起業は確かに行いやすいです。

しかしあらゆる起業がそうである様に、IT業界での起業を成功させるのはとても難しいです。弊社も日々試行錯誤しています。

IT業界での起業を果たした方・これから起業する方は、一緒に頑張っていきましょう。

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