弊社では、新規事業のアプリ、システムの開発サポートを行っています。
お客さまとの契約については、単発契約ではなく月額制(定額制)を採用し、継続的にシステム開発をサポートさせてもらうケースがほとんどです。
その理由としては、単発契約の作って終わりとなる開発では、様々なデメリットが生じるからです。(特に新規事業のサービス開発の場合)
今回は、「開発会社と契約する際になぜ月額制が良いのか?」という事と、「月額制が向いているプロジェクトとそうでないプロジェクト」について、エンジニアでない方でも理解できるように専門用語を使わずにご説明します。
目次
月額制のシステム受託開発とは?
月額制(定額制)のシステム受託開発とは、「月○○時間」という形で時間単位にて顧客と契約し、システム開発を進めていくことです。
時間単位で契約を結ぶため、事業環境の変化に応じて、柔軟に仕様や開発優先度を変更できるようになります(この点については後ほど詳しく解説します)。
月額制のシステム受託開発をオススメする理由
単発契約ではなく月額制(定額制)のシステム受託開発をオススメしているのには、主に以下2つの理由があります。
単発の一括請負では状況の変化に対応しにくい
システムの受託開発時に結ぶ契約は、一般的には一括請負契約が採用されます。
一括請負契約の内容を端的に説明すると、開発したいシステムを厳密に定義した上で、見積り金額を提出し、その要件通りのシステムを納品する事に責任を負う形態の契約です。
この内容を見る限り、一見発注者にリスクがなく、メリットが大きい契約に見えるかもしれません。
しかし一括請負契約による受託開発には、「発注前に完成物を正確に定義する必要がある」という、無視できない注意点があります。
一括請負契約による受託開発では、完成物の定義に基づいて費用の見積もりを行うため、原則プロジェクトを開始したら開発要件を変えません。
すでにオペレーション(運用)が確立しており、仕様変更がほとんどない様なシステムであれば問題ありませんが、新規サービスの開発などの不確実性の高いプロジェクトの場合、プロジェクト開始前に正確な完成物を定義する事が非常に難しくなります。
つまり、一括請負契約の場合、事業変化に応じて仕様や優先順位を適宜変更する柔軟に開発を行う事が難しくなってしまうのです。
月額制なら事業状況に応じて柔軟に変化できる開発が可能
私達が新規事業の受託開発を行う際は、「最終的な完成物をプロジェクト開始前に正確に定義する事は不可能」という前提でプロジェクトを進めます。
なぜなら新規事業の場合、企画段階の内容は全て運営側の仮説であり、初期段階で開発するプロダクトは、仮説を検証する為の試作品といった要素が大きいからです。
私達は、新規事業のシステム開発を行う際は、仕様の変化に対応しやすい「アジャイル開発」という手法を採用しています。
※アジャイル開発については以下の記事でも紹介しています。
https://techpartner.jp/blog/agile-development
変化を前提とするアジャイル開発は、納品物をプロジェクト開始前に厳密に定義し、納品する事でプロジェクト完了・入金となる一括請負の契約形態との相性が良くありません。
そのため私たちは「準委任契約」による受託開発により、アジャイル開発を実現しています。
準委任契約とは、成果物を納品する事で報酬が発生する一括請負契約と異なり、労働期間に対して報酬が支払われる契約となります。
準委任契約では時間単位で契約する事が可能になるので、まるで社内のエンジニアチームの様に、仕様変更やピボットが行われたとしても、柔軟に対応しやすくなります。
月額制のシステム受託開発のメリット
月額制(定額制)の受託開発には、主に以下3つのメリットがあります。
状況の変化に対応しやすい
月額制のシステム受託開発では、一ヶ月あたりの報酬額が固定されており、開発会社はその範囲内で作業を行うことになります。
時間範囲内であれば、週次で発注者ミーティングを行い随時、事業状況に合わせて発注内容を変更する事が可能となる為、開発優先度を調整したり、新規タスクを追加するなどアジャイル開発なプロジェクトの進め方が可能になります。
一括請負契約でもタスク毎に細かく見積り、契約といった事を繰り返せば、アジャイル風の開発を行う事は可能ですが、オペレーションが煩雑になり向いていないと考えています。
また、エンジニアを自社で採用するのと違い、事業の状況に合わせて月の稼働時間の契約時間量を柔軟に調整する事が可能な事もメリットの一つです。
外注でも社内の開発チームの様な一体感が生まれやすい
一括請負契約では、プロジェクト開始時に確定した仕様を基に開発を行い、納品する事でプロジェクト完了となる為、仮に途中で「こうしたら更に良いものができる」という気づきがあったとしても、負担を増やしてまで気づきを反映させにくいといったデメリットがあります。
もちろん、担当するエンジニアの資質や、開発会社次第ではありますが、単に決められたモノをつくるといったスタンスになってしまいがちです。
一方で月額制(定額制)の場合、時間単位、かつ継続的な期間での契約となる為、主体的に自身の気づきや学習をシステム開発に生かしやすくなります。
外注であっても社内の開発チームのような一体感が生まれやすくなるのも月額制の大きなメリットの一つです。
ヒットするプロダクトを作れる可能性が高まる(と私達は思う)
月額制のシステム受託開発には、ヒットするプロダクトを作れる可能性が高まると私たちは思っています。
一括請負での単発契約の場合、あらかじめ決めておいたプロダクトが完了した段階で契約が満了となります。
しかし、多くのお客さんに受け入れられるプロダクトを作るためには、完成後も継続的に改良する必要があると思います。
日本を代表する大ヒットプロダクトであるメルカリは、一ヶ月でおよそ3回のペース(2018年9月〜11月のデータ)でアプリのバージョンアップを行なっています。
どれほど緻密な戦略を立てても、1度目の完成品で顧客のニーズを完璧に満たすプロダクトを作るのはほぼ不可能です。
一方で月額制のシステム受託開発を行うことで、一定期間の間であれば柔軟かつ自由にエンジニアに仕事をしてもらえます。
一度完成物が出来た後も、引き続き月額制のシステム受託開発の契約を結べば、顧客のニーズを踏まえたサービス作りに邁進できます。その結果、ヒットするプロダクトを作れる可能性が高まるという訳です。
メルカリの話については、以下の記事で詳しく取り上げているので、もし良ければご一読ください。
アジャイル開発での月額制のシステム受託開発のデメリット
月額制(定額制)によるシステム受託開発には、メリットだけでなく下記に示すデメリット(注意点)もあります。
発注サイドと受注サイドの間に強固な信頼関係が構築されていることが前提
成果物の納品でなく、一ヶ月の稼働時間を決めて時間単位で契約する準委任契約(月額制の受託開発)の場合、しっかりとした信頼関係がないと、エンジニアがちゃんと仕事をしているかどうか疑心暗鬼となり、関係が悪化する恐れがあります。
発注者側に不信感を抱かせないように、受注サイドは発注者側とこまめにミーティングを設け進捗を報告するなどして、密にコミュニケーションをとる必要があるでしょう。
私たちの会社では、お客様側に安心してシステム開発を発注してもらう為に、最初から月額制(定額制)の準委任契約でなく、小規模の請負契約からスタートする事も多いです。
具体的には、最初はプロトタイプ開発(MVP開発)として、一括請負契約にて小規模なシステム開発を行い、双方の相性確認や信頼関係を築いた上で、月額制の準委任契約による継続的な開発を行っています。
発注サイドにも負担がかかる(コミットメントが求められる)
極論ですが一括請負契約の場合、完成物の仕様を定義した段階で、それ以降のプロセスを開発会社に丸投げしてしまう事は可能です。(一括請負型でも丸投げは危険ではあるのですが・・・)
しかし時間単位で契約する形でアジャイル型の開発を実施する場合は、発注者サイドも、ある程度は開発プロジェクトにコミットする必要があります。
アジャイル開発では、「個人との対話」や「顧客との協調」が他の開発手法よりも重視されます。
そのため、外注先の開発と行うミーティングの回数も多くなる可能性が高いです。
中には、開発会社が毎朝行う定例ミーティングに、発注者サイドも参加してもらう形にしている会社もあるようです。
アジャイル開発による受託開発を成功させるためには、外注先として開発会社を捉えるのではなく、同じプロジェクトの一員として参加することが大事になります。
むしろ外注側との密なコミュニケーションがあるからこそ、柔軟かつ迅速な変化が可能になると言えるのです。
システム開発を外注する際の注意点については、以下の記事で詳しく解説しているのでご参考にしてみてください。
最後に
新規事業のシステム開発など、不確実性が高かったり、継続的な開発が必要となるプロジェクトの場合、契約を準委任契約の月額制(定額制)とする事は非常にメリットが大きいと考えています。
新規事業でのシステム、アプリ開発を考えている方は月額制の契約を検討してみてください。
最後に私たちの会社についてご説明させてください。私たちの会社では、新規事業を行う方を対象に、システム開発やアプリ開発を承っています。
月額制で新規事業のシステム開発のサポートを承っているので、是非お気軽にご相談ください!