突然ですが新規事業を成功させるためには、何が大事だと思いますか?
確たる答えがある訳ではありませんが、「アイデア」の良し悪しは、新規事業の成功を左右する要因となり得ます。アイデアが優れていなければ、経営資源が豊富にあっても、成功する可能性が低くなってしまうでしょう。
とはいえ、新規事業のアイデアはそう簡単に思い浮かぶものではありません。
そこでこの記事では、新規事業のアイデアを見つけ出す上で役立つフレームワークや考え方を分かりやすくご紹介します。
目次
新規事業のアイデアを出す方法(考え方)
まず初めに、新規事業のアイデアを出す方法(考え方)を3つお伝えします。
自社の経営資源を基にアイデアを洗い出す
まず一つ目のやり方は、自社の持つノウハウや技術力などの強みを基に、アイデアを出す方法です。たとえばプログラミングに詳しい人が、プログラミングスクールを立ち上げる場合は、この考え方に基づいていると言えます。
自社(自身)が持つ経営資源が貴重かつ高度なものであればあるほど、長期的に収益を得られる新規事業のアイデアとなる可能性が高いです。
しかし一方で、あまりに自社の経営資源を活かす事にこだわりすぎて、「顧客からのニーズが無い」もしくは「市場が衰退している」場合には、新規事業が失敗に終わる可能性が高くなるので注意が必要です。
よって新規事業のアイデアを考える際には、自社の持つ経営資源だけでなく、後述する市場や顧客へも焦点を当てる必要があるでしょう。
市場や他社の動向を基にアイデアを洗い出す
新規事業と言うと「全く新しい革新的なアイデアが必要」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
市場や他社の動向を基に、新規事業のアイデアを洗い出すのも一つの選択肢です。たとえば成長している市場で自社の強みを活かした新規事業を始めれば、ニーズは既に存在するので、安定的に収益を得られる可能性があります。
ただし成長している市場では競争が激化しているので、新規事業を始めるタイミングが遅いほど、競争に打ち勝てないリスクが高くなります。
TEDで『新規事業を成功させる一番の原因』といったタイトルの有名な講演があるのですが、その中でも新規事業の成功でもっとも影響量の大きいファクターはタイミングだと言及されています。
興味のある方は以下のビデオを見てみて下さい。
顧客の悩みやニーズからアイデアを洗い出す
新規事業のアイデアを考える上で最もオススメなのは、顧客目線に立った考え方です。
顧客とのコミュニケーションや観察により、潜在的に抱えている不満や悩みを洗い出すことで、これまで存在しなかった革新的なアイデアが見つかるかもしれません。
そこで見つけたアイデアを基に新規事業を始めれば、自社で新しい市場を確立できる可能性があります。
地道なユーザインタビューや、プロトタイプによる検証など、時間やコストがかかる方法ですが、クリエイティブな新規事業のアイデアを出したい場合には、顧客目線に立つのは非常にオススメです。
顧客目線で新規事業のアイデアを出す際に役立つ考え方に、「デザイン思考」というものがあります。
デザイン思考に興味のある方は、以下の記事をご参照ください。
新規事業のアイデアを考える上で役立つフレームワーク
新規事業のアイデアを考えるに際しては、フレームワーク(ある型にはめて考える方法)が非常に役立ちます。
ここでは、新規事業に役立つフレームワークを3つ解説します。
オズボーンのチェックリスト
このフレームワークは、既存の製品やサービスを基に新規事業のアイデアを考える時に役立ちます。
このフレームワークでは、下記9つの視点から新規事業のアイデアを考えます。
- 他に使い道は?
- 他の分野からその製品に応用できる要素はないか?
- 色や形、提供方法を変更したらどうなる?
- 大きくしたら(重くしたら・長くしたら)どうなる?
- 小さくしたら(軽くしたら・短くしたら)どうなる?
- 他のもので代用したら?
- 順番やレイアウトなどを入れ替えたら?
- 方法や上下左右を逆転させたら?
- 組み合わせてみたらどうなる?
理解を深めるために、トイレットペーパーを基に新規事業のアイデアを考えるケースを考えてみましょう。
たとえば箱型のケースにトイレットペーパーを包装することで、キャンプなどに持っていきたい消費者の需要を喚起できるかもしれません。もしくは防臭効果のある香りを付けることで、トイレの消臭効果を期待できる万能商品となる可能性もあります。
このように、一見応用できなさそうな製品から新規事業のアイデアを考える上で、オズボーンのチェックリストはとても便利です。
制約条件法
制約条件法とは、「ある商品・サービスが無い状況」を想定して、新規事業のアイデアを考えるフレームワークです。
たとえばお寿司屋さんであれば、「店舗を活用できない」という制約条件を立てた上で、新規事業のアイデアを考えます。
店舗を活用できないとなると、デリバリーにする必要がある、しかしデリバリーのみで営業するには、配達スタッフを複数人採用しなければならなくて、人件費が重くなりそうだ…。ではUber Eatsに全部配達を任せて、キッチンだけの寿司屋にしたらどうだろうか?といった流れで、制約条件を基にアイディアを広げていくイメージです。
このフレームワークを用いることで、すでに成立している市場の中で、ニッチな市場を作りやすく(シェアを確立しやすく)なります。
リーンキャンバス
精度の高い新規事業のアイデアを迅速に洗い出す際には、リーンキャンバスというフレームワークが非常に役立ちます。
リーンキャンバスでは、新規事業のアイデアを下記9つの要因に細分化した上で構築していきます。
- 顧客セグメント
- 解決すべき課題
- 自社独自の価値
- 課題の解決方法
- 販路(チャネル)
- 収益の流れ(マネタイズの方法)
- コスト構造
- 主要指標
- 圧倒的な競争優位性
各要素を細分化することで、顧客のニーズや自社の強みを踏まえたアイデアを、迅速かつ明確に洗い出しやすくなります。
新規事業の成功事例
最後に、新規事業のアイデアが成功に結びついた事例を3つご紹介します。
ecbo cloak
ecbo cloakは、荷物を預けたい人と預かってくれる人をマッチングするサービスです。サービス開始わずか1年で、登録者の国籍が75カ国に到達するほどの大成功を収めています。
「市場の成長性を踏まえた上で、最適なタイミングで始められた」点が、この新規事業が成功した要因の一つと考えられます。
QBハウス
QBハウスは、10分程度の短時間で散髪できる事業を展開しています。
短時間かつ平日の昼間に通えるというサービスが、「髪を切りたいけど時間がない」というサラリーマンの層にハマり、こちらも大成功を収めています;。
顧客のニーズや制約条件を踏まえて展開された、素晴らしいアイデアと言えるでしょう。
スープストックトーキョー
スープストックトーキョーは、三菱商事の社内ベンチャー発の新規事業です。首都圏を中心に展開している同サービスは、売上高100億円を超える大成功となっています。
スープ専門店という一見競争が激しそうな市場で成功を収めた背景には、「ペルソナマーケティングを駆使した徹底的な顧客目線での新規事業開発」があります。
ペルソナマーケティングとは、そのサービスを利用する顧客を詳細に設定した上で、その顧客に適した新規事業を展開するマーケティング手法です。ペルソナマーケティングを徹底して行い、顧客目線に立ったアイデアを確立したことが、新規事業の成功の一因となったと思われます。
上記以外にも、新規事業の成功事例は数多く存在します。新規事業の成功事例については、下記の記事で詳しく解説しています。
アイデアをどのように行動に結びつけたのか知りたい方は、下記の記事をご覧になってください。
最後に
今回は、新規事業のアイデアを見つける上で役立つフレームワークや考え方、成功事例をご紹介しました。
新規事業のアイデアを見つけることは簡単ではありません。しかしフレームワークを用いたり、成功事例を参考にすれば、質の高いアイデアを出しやすくなります。
今回お伝えした情報が、新規事業のアイデア作りに役立てば幸いです。
最後に弊社についてご紹介させてください。私たちの会社では、新規事業に特化したシステム・アプリ開発を行っています。
新規事業のアイデアを作った後、システムやアプリの開発が必要となった際には、ぜひお気軽にご相談ください!