新規事業の立ち上げは非常に難易度高く、資金力のある大企業や、経験豊富な起業家でも容易に成功する事はできません。

ある調査では、新規事業の成功率は5~10%とも言われています。

成功率を1%でも上げる為に、経営学の書籍などで紹介されている新規事業立ち上げやビジネスアイディア構築にまつわるノウハウに一度目を通しておくと良いかもしれません。

そこで、本記事では新規事業立ち上げ時の具体的なプロセスと、立ち上げに役立つフレームワークを5つご紹介します

抑えておきたい新規事業立ち上げのプロセス(手順)

どんな事業を立ち上げるかに関係なく、新規事業立ち上げは一般的に下記のプロセスで進められます。

ビジョン(経営理念)の明確化

新規事業を立ち上げる際は、一番初めにビジョンを考えてみると良いでしょう。

ビジョンとは、「何のために事業を行うのか」を明らかにするものです。

新規事業立ち上げを成功させる為には、顧客からの理解・共感や、組織を構成する従業員の一体感が欠かせません。ビジョンが明確になる事で、固定客化や従業員の団結力向上を図ることが出来ます。

スタートアップなど、スモールスタートで事業を開始する場合、初期フェーズではビジョンの明文化をせずに、走りながら自分たちの会社や事業の存在意義を考えていくといったスタイルになる事が多いでしょう。

しかし、事業規模や組織規模が大きくなっていくにつれて、ビジョンの明確化、明文化がより重要になっていきます。

ビジョンが明確でない組織は、大きな利益が期待できる新規事業を立ち上げても、顧客や従業員からの理解が得る事が難しくなってしまうからです。

基本的な部分ですが、新規事業立ち上げを成功させる為には重要なプロセスですので、新規事業の立ち上げ前に、自分たちのビジョンについて考えてみてください。

事業ドメインの決定

事業ドメインとは、事業を展開する領域を指します。つまりどんな事業を行うかを決定する訳です。

事業ドメインの考え方の一つとして、「物理的定義」「機能的定義」があります。

「物理的定義」

物理的定義とは、例えば「遊園地を運営する」という感じに、具体的な製品やサービスを基点として、立ち上げる新規事業のドメインを決定する方法です。

どんな新規事業を行うかが社員に明確に伝わりやすい一方で、将来的に新規事業を発展させにくいデメリットもあります。

「機能的定義」

一方で機能的定義とは、例えば「子供を楽しませる」という感じに、顧客のニーズや不満を基点に、立ち上げ時の新規事業のドメインを決定する方法です。社員に新規事業立ち上げの概要を伝えることが難しいものの、将来的な多角化を行いやすいメリットがあります。

ビジネスプラン(アイディア)の検討

事業ドメインを決定したら、ビジネスプラン検討のプロセスに入ります。ビジネスプランとは、前のプロセスで決定した事業ドメインで行う新規事業の内容です。

例えば事業ドメインがソフトウェアの販売であれば、誰にどんな商品をどのように販売するかを検討するのが、このプロセスです。

ビジネスプラン検討のプロセスでは、検討中の事業が、継続的に十分な利益を獲得できるかどうか確認する事が、非常に重要です。その為には「市場」と「その事業自体の収益性」を慎重に検討しなくてはいけません。

市場に関しては、成長期であり、かつ十分な利益を得られる規模であることが望ましいです。ただし衰退期にある市場や規模の小さい市場であっても、差別化やニッチャー戦略などにより、収益を得られる可能性はあります。

事業の収益性に関しては、ターゲットとなる顧客の特徴や競合他社を考慮し、十分な収益を獲得できるビジネスプランを検討する必要があります。

具体的な行動計画の策定

事業化できるビジネスプランを決定したら、最後に具体的な行動計画を策定します。このプロセスでは、ビジネスプランを基に「いつ・誰が・何をするか」を詳細に決定します。

例えば「○月までに新規顧客数○人」や「○月までに売上高○万円」などの、具体的なKPI(目標)を設定します。現状を踏まえて、現実的に達成し得る行動計画を策定することが、このプロセスのポイントです。

新規事業立ち上げに役立つ鉄板フレームワーク5

次に、新規事業立ち上げに役立つフレームワークを、5つご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの観点から、自社の内部環境と外部環境を分析するフレームワークです。

強みとは、他社よりも優れている部分(ex.独自の技術力)

弱みとは他社よりも劣っている部分(ex.営業力不足)

機会とは新規事業を開始する上で追い風となる状況(ex.市場成長性の高さ)

脅威とは新規事業を開始する上で足かせとなる状況(ex.自社の強みが陳腐化する技術革新)をそれぞれ意味します。

このフレームワークは、事業ドメインやビジネスプランを策定する際に役立ちます。フレームワーク活用により、自社の強みや機会を活かした新規事業を検討できます。

日本マクドナルドを実際にSWOT 分析した事例があったので、こちらをご覧いただくとイメージが湧きやすいかもしれません。

VRIO分析

VRIO分析とは、「価値」「希少性」「模倣困難性」「組織」の観点から、新規事業のサービス・製品や自社の経営資源の強さを測るフレームワークです。

経済的な価値があり、希少な経営資源やサービスであり、他社から容易に真似されにくく、組織として十分に実行可能であれば、その新規事業は自社の収益源となる可能性が高いと判断できます。

このフレームワークは、ビジネスプラン検討のプロセスにおいて、事業として成立するモデルを策定する際に役立ちます。

VRIOの条件を満たしていれば、継続的に利益を得られる新規事業立ち上げとなる可能性が高いです。

ペルソナ分析

ペルソナ分析とは、新規事業立ち上げで製品・サービスを提供する顧客のキャラクターを想定するフレームワークです。

このフレームワークでは、仮の顧客像を想定した上で、その顧客が欲しがるサービス・製品を考えていきます。

ペルソナの想定が上手くいけば、ニーズに合致する魅力的な製品・サービスを提供できます。

ビジネスプラン策定で非常に役立つフレームワークですが、精度の高いペルソナを想定する為には、綿密な調査や検証が必要となります。

スープストックトーキョーさんが事業をスタートする前に、非常に精度の高いペルソナを作成した事例は有名ですね。

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ペルソナ設定〜Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り...
https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/persona-soupstocktokyo

3C分析

3C分析とは、「顧客」「競合他社」「自社」の観点から新規事業立ち上げを検討するフレームワークです。

顧客に関してはニーズや市場規模、競合他社と自社に関してはそれぞれの強みと弱みを分析します。

3つのCの観点から新規事業立ち上げを検討することで、多面的な視点から事業性の高いビジネスプランを策定できます。新規事業立ち上げに限らず、様々な場面で活用されているフレームワークです。

こちらの記事で、スターバックスを事例に3C分析をしていましたので、参考になるかもしれません。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、新規事業へ参入する際のポジションを決定するためのフレームワークです。

このフレームワークでは、縦軸と横軸に「価格」や「製品・サービスの特徴」などを定めた図表を用います。そのマップ上に競合他社を置いた上で、自社のポジションを決定します。マップ上の空白に自社のポジションを置くことで、既存他社との差別化を図った上で新規事業へ参入できます。

既に成立している市場で参入企業が利益を得る為には、既存企業との差別化が必要になります。その観点で、新規事業への参入においては不可欠なフレームワークと言えます。

最後に

教科書通りにいかないのが、新規事業ではありますが、成功率を上げるために、一般的な立ち上げプロセスを把握しておいて損はないでしょう。

またフレームワークを有効活用すれば、事業立ち上げのプロセスを効率的に進められるかもしれません。

新規事業立ち上げやビジネスアイディア検討の際は、今回ご紹介したプロセスやフレームワークを参考にしてみてください!

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