スタートアップと聞くと、創業したばかりの会社を指すと思われるかもしれませんが、本来は全く異なる意味で用いられています。
今回の記事では、スタートアップとは何なのかを、魅力や経営ノウハウに関する説明を交えつつご紹介します。
目次
スタートアップの定義と特徴
スタートアップという言葉、一般的に、短期的に急成長することを目的とした(または持続的に急成長できる)、創業から間もない会社の呼称として利用される事が多いです。
スタートアップという言葉自体の厳密な定義はありませんが、一般的な会社と比較して次の特徴を持っていると言われています。
- 新しい技術やビジネスモデルを活用する
- 少人数で、スピード感をもって事業推進する
- 短期間でスケールアップするビジネスを目指す
- IPOやM&Aによるエグジットを目指す
例えば創業当初のGoogleやFacebookなどが、上記の要件を満たしているスタートアップであると言えるでしょう。
創業当初のエピソードを見る限り、GoogleやFacebookの創業者達は最初からスタートアップ的な価値観で事業成長を目指していた訳ではない様ですが、結果的にこの2社は、新しい技術やビジネスモデルを用い、世界中のユーザに愛されるプロダクトを開発した事で、前例のないレベルのスピード感で圧倒的な成長を遂げました。
一方で、99%近くのスタートアップと自称、他称される企業は、大きな事業成長を遂げる事なく、ビジネスを辞めたり、事業が停滞し、スモールビジネス(中小企業)となります。
スタートアップと呼べるかどうかは、結果論なのかもしれませんね。
スタートアップとベンチャーの違い
「ベンチャー企業」もスタートアップと同一視されがちですが、実は「ベンチャー企業」という名称は日本で作られた言葉です。
ベンチャー企業という言葉自体は、1970年代前後から使われていました。日本ベンチャー・ビジネス協会が発足したのは、1971年。ベンチャー企業という言葉はもう50年近くの歴史がある一方、スタートアップという言葉が日本でよく使われる様になったのは、2010年前後からです。
スタートアップと、ベンチャーに厳密な違いはありませんが日本では、創業したての会社を総じて「ベンチャー企業」と呼ぶ傾向があります。またベンチャーの場合、ゼロイチの起業だけでなく既存の企業が新規事業などに取り組む文脈でも呼称されます。
一方、スタートアップは起業、特に新しい技術やビジネスモデルを活用した少人数のチームを指す事が多です。アメリカのシリコンバレー発のIT企業の文化や、経営手法に強く影響を受けているのもスタートアップの特徴の一つです。
スタートアップの魅力
既存ビジネスの延長線にあるサービスによる確実な成長を目指すスモールビジネスとは違い、スタートアップには独自の魅力があります。
少人数チームで世の中を大きく変えることができる
スタートアップの事業が成功すれば、これまでの世の中とは全く異なるシステムや文化を創り出せる可能性があります。
たとえばGoogleが急成長したことで、世界中の人々がいつでも簡単に欲しい情報を得られるようになりました。
最初は数人で始めた事業で、わずか数年でここまで世界を大きく変えられる点は、スタートアップにしかない魅力だと言えると思います。
エグジットによる金銭的な見返りがある
スタートアップにおけるもう一つの魅力は、IPOやM&Aなどのエグジットが成功すれば莫大な利益を得られる点です。
一般的に、エグジットに成功した経営陣は、持ち株比率や時価総額次第ではありますが、IPOでは数億円〜数百億円、M&Aでは数億円〜数十億円もの利益を得ることができる可能性もあります。
つい最近だと、急成長を続けていたスタートアップ「Instagram」がFacebookに買収されましたが、その時の買収額は約10億ドル(約1000〜1200億円)と言われています。
10人ほどのチームで始めたスタートアップが約1000〜1200億円もの利益をもたらすなんて、非常に魅力的な話ですよね!
日本国内のスタートアップ界隈の場合、数百億円以上のM&Aはほとんどありませんが、創業から2-3年程度で10億前後で会社をバイアウトするといった話しは、珍しくありません。
もちろん、ほとんどの起業は成功する事なく、ほんの一部の成功事例ですが、野心的な若者にとってスタートアップをはじめる事は、魅力のある選択肢となっています。
スタートアップのリスク
スタートアップに特有のリスクといえば、やはり不確実性の高さでしょう。
スタートアップは全く新しい発想や技術に基づいてサービスや事業を展開するため、既存事業を基にしたサービスや事業と比べて、成功するかどうかの見通しが立ちにくいです。
既存事業を基にしたサービスや商品であれば、市場調査を行うことで、顧客の需要がどのくらいあるのかをある程度は確認できるでしょう。
しかしスタートアップの事業は、出来たばかりの新しいマーケットや、技術を利用して斬新なアイディアでスタートする事が多いため、顧客のニーズ理解や、マーケットサイズを見積もる事が難しい為、成功するかどうかを判断しにくいです。
仮に数十億円以上の金額でエグジットすることを成功であると仮定すると、ほとんどのスタートアップは志半ばで失敗に終わると言って良いでしょう。
スタートアップの資金調達
スタートアップが利用する資金調達の方法には、「エンジェルからの出資」や「VCからの出資」があります。
エンジェルからの出資
エンジェルとは、スタートアップなどの創業間もない会社に対して、個人的に出資を行う個人投資家を指します。
創業したてのスタートアップは、不確実性の高い(ニーズがあるか・成功するか分からない)事業を行うため、金融機関からの融資や後述するVCからの出資を受けにくいです。
そんな創業したてのスタートアップを支援するのがエンジェルです。エンジェルの多くは元起業家であり、すでに多額の資産を築いている点が特徴の投資家です。
エンジェルには過去の自分と同じように、大きな志を持った起業家を支援したいと考えている投資家が多く、資金面だけでなく、経営のアドバイスや他の投資家や経営者を紹介したりもします。
AmazonやTwitterなど、世界的に成功しているスタートアップも、創業当初はエンジェルからの資金調達を受けています。
スタートアップにとってエンジェル投資家は、その名の通り「天使のような存在」であると言えるのです。
VC(ベンチャーキャピタル)からの出資
ある程度の規模まで成長したスタートアップは、VCから事業運営に必要な資金を調達します。
VC(ベンチャーキャピタル)とは、株式を引き受ける形で出資を行い、将来投資先の企業が成長した際に、株式のキャピタルゲイン(投資した際の金額と売却金額の差額)を得ることを目的として、スタートアップなどの会社に投資する組織です。
エンジェル投資家が不確実性の高い企業に対して数百万円〜数千万円の少額出資を行う一方で、VCではある程度事業の成長見込みがあるスタートアップに対して数億円〜数百億円もの大規模な出資を行う傾向が強いです。
ある程度軌道に乗ったスタートアップが圧倒的に事業を成長させるためには、一般的にはこれまで以上に資金を投入する必要があると言われています。
自己資金やエンジェルからの出資だけでは圧倒的なスケールアップが困難だと判断したスタートアップは、VCからの出資を受けるケースが多いようです。
ただしエンジェル投資家以上にビジネスとして出資するため、経営陣にとっては自由に経営しにくくなるリスクもあります。
スタートアップの経営ノウハウ
不確実性の高いスタートアップですが、スタートアップに適していると言われる「リーンスタートアップ」と呼ばれる経営のノウハウはあります。
リーンスタートアップとは、スタートアップの本場であるシリコンバレーが発祥の経営論であり、全米で大きな注目と高い評価を集めています。
リーンスタートアップは、「無駄を徹底的に排除しながら事業の拡大を目指す」点に特徴があります。
具体的には、コストをかけずに最低限の機能のみ備えた試作品を開発・提供し、顧客の反応を伺うことを重視します。
MVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる試作品により顧客のニーズがあるのが分かってから本格的に事業を展開することで、スタートアップの成功可能性を高める効果が期待できます。
スタートアップの本場アメリカのシリコンバレーでは常識となるほど、実績のあるノウハウなので、スタートアップ型の経営を目指すのであれば是非とも知っておきたい経営ノウハウだと思います。
リーンスタートアップやMVPについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照してみてください。
最後に
スタートアップは不確実性こそ高いものの、成功すれば想像を大きく超えるメリットを得られる経営の方法です。
今回の記事の内容が、スタートアップ型の経営を目指す方に役立てば幸いです。
最後に弊社の事業内容についてご説明させてください。
私たちの会社では、新規事業やスタートアップに特化したシステム・アプリ開発を承っています。
スタートアップの経営や、新規事業でシステムやアプリの開発が必要になった際は、ぜひお気軽にご相談ください。