「新規事業の一環としてアプリを開発したい!」と思い立ったら、まずは開発方法を検討しましょう。

アプリやシステム開発には様々な方法があり、目的や状況に応じて方法を使い分ける必要があります。

今回は数あるメソッドのうちの一つ「プロトタイプ開発」について、メリットやデメリット、目的などをご紹介します。

プロトタイプ開発とは?

プロトタイプ開発の意味

プロトタイプ開発とは、プロジェクトの早期段階で試作品(プロトタイプ)を製作し、その試作品を発注者やターゲットユーザに確認・評価してもらうことで、アプリの仕様を予め確定する方法です。

プロトタイプ開発の目的

プロトタイプ開発の目的

プロトタイプ開発は、どのような目的で行われるのでしょうか?

プロトタイプ開発は、アプリ(システム)開発で生じ得る手戻りや費用増加などのリスクを抑制する目的で採用されます。

従来行われていたウォーターフォールモデルでは、アプリ開発を段階的に進めていくため、後工程で不具合が発見された場合に大幅な手戻りや、それに伴う費用が生じます。

一方でプロトタイプ開発では、初期段階で必要な機能を明確にした上でアプリを開発するので、大幅な手戻りや費用増加のリスクを減らせます。

リーンスタートアップで有名なMVPもプロトタイプの1種

プロトタイプ開発の具体的手法の一種に、リーンスタートアップで紹介されている「MVP」があります。ちなみにリーンスタートアップとは、シリコンバレー発祥の起業方法論です。

MVP(Minimum Viable Product)とは、顧客に価値提供できる最小限の機能を備えた試作品を意味します。

新規事業において最も怖いのが、大規模な投資を行ったにも関わらず、誰にもニーズがない製品・サービスを完成させてしまうことです。

多額の費用を要したのに売上が得られないと、費やした時間が無駄となる上に、多額の損失が残ります。

一方でMVPを活用すれば、その製品・サービスが顧客のニーズを満たしているかを予め確認した上で、新規事業を展開する事が可能になります。

その結果、事業成功率が上がるだけでなく、開発費用・開発期間共に削減できるのです。

MVPについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

プロトタイプとモックアップの違いは何?

プロトタイプと似た概念に「モックアップ」があります。両者は類似する概念ではあるものの、意味に違いがあります。

モックアップとは、発注者の要求を踏まえて作成するアプリの設計図(完成図)です。文章や画像、ロゴなどを一つの図に盛り込み、アプリの概要を一目で分かるようにします。あくまで視覚的にアプリの概要を把握するものであるため、実際に使用することはできません。

一方でプロトタイプとは、モックアップとは違い実際に試し使い出来るものになります。つまり、「モックアップを踏まえて、具体的な機能を付け加えたのがプロトタイプ」というイメージです。

プロトタイプ開発のメリットとデメリット

プロトタイプ開発のメリット

アプリをプロトタイプ開発する際には、主に以下のメリットを期待できます。

ユーザのニーズを満たすアプリを開発しやすい


ユーザーのニーズを満たすアプリを開発しやすい
プロトタイプ開発では初期段階で試作品を作り、発注者やユーザーからフィードバックをもらいます。

ユーザーによるフィードバックを踏まえた上で、完成品を製作するため、真のニーズを満たすアプリを開発できる可能性が高いです。

手戻りや費用を削減ができる

手戻りや費用を削減できるかもしれない

前述した通り、プロトタイプ開発には手戻りや費用を削減できるメリットもあります。

どれだけ事前にシュミレーションしても、全ての性能を問題なく発揮するアプリを100%開発できるとは限りません。

後工程で想定外の不具合や仕様変更が生じた結果、大きな手戻りやそれに伴う費用が発生するケースは多々あります。長くIT業界にいますが、そうした手戻りや費用が原因で、プロジェクトが失敗に終わるケースを数多く見てきました。

プロジェクトが失敗に終わるリスクを低減できる点も、プロトタイプ開発の大きなメリットと言えます。

認識のすり合わせをしやすい

認識のすり合わせをしやすい

プロトタイプ開発によりアプリを製作すると、プロジェクトメンバー間で認識のすり合わせをしやすいです。

要件定義だけでは最終的なアプリの仕様を想定するのは難しく、メンバー間で認識にズレが生じる可能性があります。メンバー間で認識にズレがある状態でアプリ開発を進めると、思わぬ不具合が生じるかもしれません。

一方でプロトタイプ開発では実際に試作品を作成するため、メンバー間で完成品に関する認識をすり合わせしやすいです。ですので、後々トラブルが生じるリスクをあらかじめ低減しやすい訳です。

プロトタイプ開発が、向いていないケース、デメリット

一方でアプリをプロトタイプ開発にあまり向いていないケースや、デメリットもご紹介します。

開発メンバーの負担が増加する可能性がある

プロトタイプ(試作品)とはいえ、実際に使えるアプリを製作するので、仕様書の作成と比べると手間がかかります。

しかしながら、プロトタイプをスキップして完成品を開発した後に、大きな手戻りが発生する事のほうが、大きなリスクですので、プロトタイプ開発のメリットの方が大きいと私達は考えています。

既に運用しているサービスをアプリ化する場合は必要ないかも

仕様やユースケースが確定しており、運用実績がある場合 (既にWebで運用しているサービスのアプリ化 or 既存業務システムのアプリ化等)は、プロトタイプのステップを踏まずに、完成品を開発しても問題ないでしょう。

新規事業のアプリ開発にはプロトタイプ開発がオススメ!その理由とは?

プロトタイプ開発を取り入れるべき
数多くのメリットを持つプロトタイプ開発は、新規事業におけるアプリ開発に特にオススメです。

手探りで展開するので新規事業は不確実性が高く、成功するか失敗するかは誰にも分かりません。自分たちでは優れたアプリだと確信しているとしても、ユーザーが本当に欲しい製品であるとは限りません。

仮にユーザーに受け入れられなかった場合、アプリ開発に費やした多大な費用・時間が無駄となり、新規事業は失敗に終わるでしょう。

そこでプロトタイプ開発の考え方が役に立ちます。まず最初にプロトタイプ(MVP)を作成し、実際に使用する人でニーズの有無を検証します。ある程度のニーズがあると判明した段階で、フィードバックを踏まえて本格的にアプリ開発に取り掛かれば、費用や時間を無駄せずに済みます。

不確実性が高い新規事業だからこそ、プロトタイプ開発を取り入れるべきです。

最後に

今回は、アプリをプロトタイプ開発するメリット・デメリットや目的などについてご説明しました。

試作品を製作する手間はかかるものの、大幅な手戻りが生じるリスクを回避できるメリットは非常に大きいです。特に不確実性の高い新規事業では、プロトタイプ開発によりリスクを低減させることが有効と言われています。

今回ご紹介した情報を基に、プロトタイプ開発を新規事業に役立ててもらえれば幸いです。

最後に、私たちの会社についてご説明させてください。

私たちは、新規事業のシステム・アプリ開発に特化しています。スピーディーな事業展開を、開発面から精一杯サポートさせていただきます。

新規事業の立ち上げを検討中の方は、お気軽にご相談ください!

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